結婚式

Written by 鯖虎


と・・・とうとうこの日がやってきた・・・。

この日にこぎつけるまでは、いろんな困難があったが、

それを・・・何とか乗り越えて、ここまで来た。

なんだよ、くそっ!

ふ、震えがとまらねぇ・・・。

緊張なのか、嬉しさのあまりなのか。

だー!こんなんじゃ・・・アンジェにあえねーじゃねーかよ!

 

「時間だぞ、ゼフェル・・・お、やっぱりかっこいいな、それ」

ランディが控え室まで俺を呼びに来た。

なんでこいつは、そんな恥かしいことを易々と口にだせんだよ!っとに。

白いタキシードなんて、かっこいいか?

猿回しの猿みてーじゃねーか・・・。

俺はこんなのやだっつったのに、オリヴィエのやろーが強引に衣装を決めやがった。

「披露宴のときは、派手なの着て。結婚式は無難にいこうか☆」

なんであいつがしきるんだ、と思ったが、衣装なんてはっきり言ってどうでもよかったし、

何を着ればいいのかなんて、わかんねーから、一応従ってやったけどよー。

「分かったよ!今行く!!」

椅子から立ち上がり、俺の・・・花嫁を迎えに行った。

 

☆☆☆

さっきよりも緊張している気がする。

深呼吸を1つして、オリヴィエが連れてくることになっているアンジェを待った。

1分ほどしてからだったと思う。

真っ白なウエディングドレスってのに身を包んだアンジェが現れた。

その・・・様子を、どう表現したらいいのか、俺はわからなかった。

アンジェを「可愛い」と思ったことは幾度となくあったが、

「綺麗だ」と思ったのは・・・これが初めて・・・かもしれねー。

「ふふ〜ん、どお?私の最高傑作は♪」

オリヴィエが自身たっぷりにそう言った・・・のも頷ける。

俺は、緊張していることもわすれて、アンジェに魅入ってしまった。

「・・・あの・・・ゼフェル様・・・その格好・・・よくお似合いです・・・」

恥ずかしげにアンジェがそう言った。

「アンジェ・・・そ、そのっ・・・すげーな!」

俺はなんて言っていいかわからず、頓珍漢なことをひとこと言った。

他に・・・言葉が思い浮かばなかったんだ。

 

☆☆☆

祭壇の前で、女王は鈴のような声でこう言った。

「アンジェリーク・コレット、病める時も健やかなるときも鋼の守護聖ゼフェルを生涯の伴侶

として、ともに在り、慈しみ合うと誓いますか・・・?」

「はい・・・誓います・・・」

アンジェの声が少し震える。

鋼の守護聖ゼフェル、病める時も健やかなるときもアンジェリーク・コレットを生涯の伴侶

として、ともに在り、慈しみ合うと誓いますか・・・?」

「あぁ、誓う・・・」

真っ直ぐ見て、そう言ったが・・・別に女王に誓ったわけじゃねー。

アンジェに誓ったんだ。

 

「それでは、誓いの指輪を・・・」

そっと手を取る・・・はずだったが、なぜか仕草が乱暴になってしまった。

「・・・」

無言で指輪を贈りあう。

そして。

アンジェの左手を離さずに、ゆっくりと俺は片膝をついた。

「ゼフェル様っ!?」

小声でアンジェが叫ぶ。

 

「・・・アンジェ・・・俺は・・・おめーを大事にする。生涯・・・おめーだけを・・・」

 

誓いの言葉を言って、アンジェの左手にキスをした。

 

俺が立ちあがったところで、女王は誓いの口づけを促した。

ゆっくりとヴェールを持ち上げる。

アンジェは、蒼い瞳いっぱいに涙を浮かべている。

それをそっと拭ってやり、0.1秒の短いキスを落とした。

 

☆☆☆

「アンジェ、おめでとーー!!!」

「おめでとう!アンジェ!」

レイチェルや他の守護聖の祝福の声に包まれて、俺たちは外に出た。

白い紙ふぶきが俺たちの頭の上から降ってくる。

・・・・が。

「おいっっ!!!なんでアンジェばっかり「おめでとう」って言われて、俺にはねーんだ

よ!そして、なんで紙ふぶきが俺の上には降ってこねーんだよ!」

俺とアンジェの結婚式で、アンジェだけめでてーみてーじゃねーか!

「アンジェリークが幸せなのはいいが、相手がどうも納得いかないからな、なんで坊やなん

だ」

オスカーがニヤニヤしながら、冗談混じりで言う。

「僕もアンジェが好きなのに、ゼフェルが独り占めしちゃうんだもん

・・・アンジェが幸せなのは嬉しいけど・・・」

ちょっと本気で言ってるのがマルセルだ。

「ゼフェル様には取られたくなかったのにー!」

とぼやきながら、レイチェルがアンジェの上に紙ふぶきを降らせている。

「ははっ、ゼフェル。結婚式を挙げて、ますます敵を作ったみたいだな!」

・・・ランディ野郎の言うことが、珍しく的を射ているようじゃねーか。

アンジェは苦笑いを隠しきれないでいるし。

ちくしょーーーーっっ!

 

そんなことを考えていると、アンジェ以外のやつが空を見上げていた。

なんだ?鳥でもいるのか?

アンジェも不思議がってるみてーだ。

そして。

 

「せーーーーーーーのっっっ!」

みんなが一斉に叫んだ瞬間。

 

ざざーーーーっっっ。

 

「きゃーっっ、ゼフェル様!!!」

アンジェの叫ぶ声が、隣で聞こえるが。

俺には何が起きたか、一瞬わからなかった・・・。

・・・・・・・・・・・そうか・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺の頭の上だけに、大量の紙ふぶきが降ってきて。

俺の身体は半分くらい、紙ふぶきで埋まった・・・のかよ・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「きゃはははっっ☆ゼフェル、アンタ・・・サイコーーーーーっっ

みんなからアンジェを奪った罰だよ、それは!!!」

オリヴィエの笑い声を先頭に、みんなが一斉に笑い出した。

爆笑の渦・・・・・・・・。

 

「ちくしょーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」

俺の今日何度目かの叫び声が、むなしく空に響き渡り。

俺たちの結婚式は、幕を閉じた。

 

ふざけんじゃねーーーーーーーぞ!!!

みてろよ、てめーら。

是が非でもアンジェを幸せにしてやるかんな!

誰にも文句は言わせねーように!!!

 

END


途中までは真面目に書きましたが。

あんまり真面目すぎてもねぇ・・・ってことで、はめをはずしました。

真面目な結婚式は、誰か別の人が書いてあげてね♪(爆)  鯖虎