夏は、夜が早く過ぎ去ってしまう。

 もう少しだけ、こうしていたい。

 白んでゆく空。

 朝になったらあなたは・・・?






 夜が明けたら。






 真っ白なシーツに包まって、ぼんやりとしていた。
 私は、カカシの胸に頭をのっけて、その鼓動を聞く。
 眠れずにいる私に気付いて、
 カカシは私の髪を撫でる。
  「眠くないの?」
  「・・・・・・うん。」
  「眠れないんデショ?」
  「・・・そう。眠れないって方が・・・正しい・・・かな?」






 カカシと付き合い始めて、もうすぐ1ヶ月。
 浮いた話の多かった彼。
 今は
  「だけだからね?俺がこんなにも愛してるの。」
 なんて、よく言ってくれる。
 朝起きた時、雑踏の中、飲み会の最中、散歩してる時、帰り道、ベッドの中。
 人前だろうとなんだろうと、そう言ってそっとキスをする。







 愛されてるって、思ってみてもいいのかな・・・?







 でも、私の心はいつも不安だらけで。
 今だって、そう。
 空が白んできて、夜が明けたら・・・・
 カカシは夢のように
 私の前から消えてしまうんじゃないか、と思ってしまう。





  「何で眠れないの?」
 不意にカカシが口を開いた。
 私を見る、蒼と赤の瞳。
 柔らかい銀髪。
 整った顔立ち。
 私には勿体無い・・・・・貴方の存在。





  「何でもないよ。」
  「・・・・・、俺になんか隠してるの?」
  「別に隠し事って訳じゃないんだけど・・・・。」
 カカシは、穏やかだけれど強い口調で私に言う。
  「じゃ、話してよ?」






  「あのね・・・。カカシが・・・消えちゃう気がして・・・不安なんだ。
   朝になったら、私の前から・・・・・・・・・・・・・・・消えちゃう気がして・・・・・・・。」






 カカシは少し笑ったみたい。
 そして、私の方を向いて
  「いい?俺はずっとの傍にいて、絶対にから離れない。
   たとえ、お前が嫌だって言ってもね。」
 カカシのその眼差しは、ひどく真剣で。
 私は、戸惑った。
  「で、でも・・・・・。カカシに似合う女の人なんて、いっぱいいると思うんだけど・・・。私なんか」
  「今更何言ってんの?」
 カカシの呆れたような声が、私の言葉を遮った。
 そして、私を強く抱きしめて・・・・。






  「もう、そんな馬鹿な事言うなよ。
   俺はを愛してるし、
   は俺の事だけ、愛してればいーの!」








  「アリガトウ・・・・・カカシ。」






 少しだけ、早くなった彼の鼓動に耳を澄ます。






 外はもうすぐ朝になる。
 ひんやりとした空気。
 窓から入る、乳白色の光が
 カカシの銀髪を照らして、輝かせている。






 「朝になったって、俺は消えたりしないよ。」






 私の不安を打ち消すように、カカシは呟いた。






 そして、オマケに一言。                                






  「ズット、ソバニイルカラ・・・・ネ?」







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