休日。

 天気の良い休日。
 森の中。
 一部分だけ、野原になっている場所がある。
 そこはまるで海に浮かぶ離島の様。
 そんな場所を知っている人間は、ほとんど皆無であろう。
 そこは、だけの秘密の空間。

 草の上に寝転んで、本を読みながら、持参のサンドイッチを齧る。
 (あ〜、やっぱ天気のいい日にはこれに限るなあ〜)
 こうしていると、上忍としての忙しい日々も、
 時には人を殺めるこの仕事の事も、
 任務とはいえ、人を殺めた時のあのつらさも、忘れられる。
 唯一のストレス解消法。
 
 しばらく本を読んでいただが、
 さわさわと草を揺らす風の音と暖かい木漏れ日が、疲れた体には優しくて、眠気を誘う。
 (あぁ。このまま寝ちゃおうかなぁ・・・・)
 手にしていた本を横に置いて、瞼を閉じる。
 ゆっくりと意識がフェイドアウトしてゆく・・・。



 (・・・・・・?)



 夢の入り口まで来ていたは、何かの気配を感じた。
 悲しいかな、忍の習性。
 どんな状況でも、気配に関してはかなり敏感である。



 (誰?・・・人なんて・・・来るわけ・・ない・・・)



 ひどく眠いのを我慢して、目を開ける。

 「あ、起きちゃった?」

 「・・・・・!!!!!」

 目の前にあったのは、マスクを下ろしたカカシの素顔。
 びっくりして、は素早く体を起こす。
 
 「か・・・カカシ?!」

 「やっぱ、気付かれちゃった?うまく気配消してたつもりなんだけどねぇ。」

 「は?・・・・・どうして?どうして、ここに・・・?」

 「さすがは。あんなに少しの気配で気付くなんてね。」

 「い、いや。そんな事より、カカシ、ここで何してんの?!」

 動揺するをよそに、カカシはいつもの、のんびりとした口調。

 「え? あー、のチャクラ辿ってきたら、ここに・・・・。
  んで、が気持ちよさそうに寝てるからさ。キスしてやろうと思って・・・・」

 ぱちん!

 の手のひらが、カカシの頬を打つ音が、森の中に響く。

 「何考えてんの!この・・・・エロカカシ!」

 言葉よりも先に手が出てしまった
 平手打ちされても、にこにこしているカカシに、余計動揺する。
 その理由は・・・・・・。
 ・・・・・カカシは、の片思いの相手だから。
 

 少し間を置いて、は徐々に平常心を取り戻した。


 「あ・・・カカシ・・・ご、ごめん。」

 「はは・・・気の強いでも謝ったりするんだ。」

 「・・・皮肉言わないの。で、何か緊急の用事でも伝えにきたの?」

 「まぁ、緊急といえば緊急・・かな。」

 「火影様から・・・?」

 「いや・・・・、俺から。」

 「は?どーゆー事?」

 訳の分からない、カカシの返答には首をかしげた。

 「。」

 急に真顔になったカカシに、の心拍数は上がっていく。

 「好きなんだ。」

 

 「・・・・・・・・・・は?」

 「あの・・・・。『は?』じゃなくてさ。の答えは?」

 「カカシ、これって、何かの罰ゲーム・・・とか?」

 「ナニわけのわかんない事言ってんの?俺はマジメに言ってるよ?」

 「いや・・・・、突然そんな話されても・・・・・。」

 「じゃ、は俺の事キライなんだ?」

 妙に自信に満ちたカカシの両目が、を見つめる。

 「・・・・・き、キライじゃないけど・・・。」

 「キライじゃない?って、じゃ、ナニ?」

 カカシは更に詰め寄る。
 

 「・・・・す、好き・・・だよ・・・・。」



 「ん、ごーかっく!」

 顔を赤くしてうつむくを、カカシはぎゅっと抱きしめた。


 しばらく黙ったままの2人だったが、カカシが先に口を開いた。


 「で、はここで何してたの?」

 唐突な質問に、どう答えて良いかしばらく迷って、は答えた。

 「あ・・・まぁ、その、こうやって一人でいるのが、私のストレス解消法だから・・・。」

 「・・・・そうなんだ・・・・。忍って職業も、いろいろつらいもんなぁ。」

 そう、カカシはそのつらさを知っている。
 里で1,2を争う忍の彼でも、それは同じなのだろう。


 「でもさ、。」

 「・・・何?」

 「これからは、どんな事があったって・・・・・」





 「俺が傍にいる限り、は安心しててイイよ。」




 「そーゆー時は、ここに来るんじゃなくて、俺の所に来てよ・・・分かった?」




 「うん・・・。ありがと。カカシ。」






 まだ恥ずかしそうにしているを、カカシはふいに抱き上げた。

 「じゃ。コイビトになったわけだし、これから俺の家でイチャイチャしよっか?」


 パチーーン!


 いい音が森にこだまして、カカシの頬に赤い手形が付いた。


 「ばかっ!それとこれとは別の話っ!エロカカシぃーーーー!!!」


 ばたばたと暴れるであったが、それが無駄な抵抗である事は明らかだった。
 

 カカシはを抱えたまま、里の方向へと走り出した。









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不幸にも(笑)キリバンを踏まれた火桶 ナズナ様への捧げ物でゴザイマス。
頂いたリクエストの御希望に添えたかどうかは、自信ナイです・・・(汗)
ギャグ風味というよりは、甘くなってしまっただけのような・・・(^^;
ごめんなさーーーい。
どうかこれでお許し下さい。
いや、ホント、申し訳ないです。




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