自分で言うのもなんだけど
私って、本当に可愛くない女

好きなのに
伝えたいのに

口から出るのは
いつも
反対の意味を持つ言葉


【可愛くない私】


「ふぅ・・・一ヶ月ぶりの里だ〜♪」

Bランクの任務を終えて帰ってきたは、報告書を提出した後
仲間と暇なときによく行く定食屋へと向かった。

「・・・おっ、帰ってきたのか」
「ご無事でなによりです・・・ゴホッ」
「ふふっ、元気そうでよかったわ」
〜早速甘栗甘に行くわよ!」
昼食をとっていたアスマ・ハヤテ・紅・アンコに温かく迎えられ
も早速何か食べようとメニューを見始めた

「ん〜・・・焼き魚・・・煮魚も捨てがたいなぁ・・・」
「じゃ、俺が焼き魚にするから、は煮魚にすれば?」
突然の声に、高まっていくの胸の鼓動
しかし、本人に気づかれぬよう平静を装い、口を開いた
「・・・何か用?カカシ」
「相変わらず冷たいねぇ・・・ま、そんなも好きだけどね〜」
「私は嫌い。・・・おばちゃん、天ぷら定食ね!」
は、あえてカカシの嫌いな天ぷらを注文したのだった

「えー天ぷらはないデショ」
「あっ、皆!今夜暇?」
はカカシを無視し、アスマたちの方に顔を向けた
「俺は別に暇だが・・・」
「ゴホゴホ・・・任務もありませんし・・・」
「私もよ。・・・じゃぁ久しぶりに集まりましょうか」
「いいわねぇ、それ!」
「じゃぁ6時に酒酒屋集合でいい?」
「うん、いいよー」
後ろから返された返事に、はムッとした表情になった。
「・・・カカシも来るの?」
「もちろん。」
「・・・あっそ」
短く返事を返し、は運ばれてきた天ぷらを頬張った



私・・・本当に可愛くない・・・
なんでこうなっちゃうんだろ・・・



ここは酒酒屋
集合時間10分前に来ていたアスマ・ヤハテ・紅・アンコがなにやら話し合いをしていた
「ねぇ、ってなんでカカシに冷たいわけ?」
「・・・あれだろ、愛情の裏返しってやつ」
「ゴホゴホ・・・あの二人は両想いですよね」
「そうね・・・じゃぁ、を素直にさせましょうか」
突然の紅の発言に、3人は首を傾げた
「あの子って結構お酒強いけど、容量を超えると酔って・・・ポロッと出しちゃうの よ、本音を」
「ほぉ・・・やってみる価値はありそうだな」



6時になり、が中に入ってきた
「あれ?早いねぇ」
「暇だったんでな。ホラ、そこにでも座れ」
指差された方を見ると、は嫌そうな顔でアスマを見た
「仕方ねぇだろ?座る場所は早い者勝ちなんだよ」
は渋々座ると、隣の座布団を自分のところから離した


「さぁ、今日は飲むわよ〜」
各々は、自分の好きなお酒と肴をオーダーし始めた
「じゃぁ私は・・・とりあえずビールで」
「あら、もっと頼めば?・・・ここに書いてるの、全部持ってきてください」
紅の行動に、は開いた口が塞がらなかった
「今日はのお疲れ会と、久しぶりの飲み会を兼ねてるのよ?
たくさん飲みましょうよ、ね?」
紅には逆らえないなぁと、は苦笑を漏らして頷いた


畳の上に転がる空いたビール瓶の数々
4人はほんのり頬を染めて少しずつ飲んでいたが
は相変わらず普通の表情でペースを崩すことなく飲んでいた
「いやぁ、すまんすまん。」
カカシは飄々とした顔で現れると、の隣に腰掛けた
「ったく・・・1時間遅刻かよ」
「まぁまぁ。」
サンマの塩焼きを注文し、カカシも飲みだした

「(・・・カカシ・・・隣・・・)」
爆発寸前のの心臓
「ちょ、ちょっと・・・!?」
早いペースで、アルコールがの体内に流されていく

そして・・・

「ん〜・・・なんか楽しいねぇ〜」
ついに容量を超えた
「(・・・よしっ)」
4人は心の中でガッツポーズしたのだった
「・・・、大丈夫なのか?」
心配そうにを見つめるカカシ
「だいじょ〜ぶっ、へーきへーき♪」
あははと笑うと、はまたビールを飲みだした。
「あのねぇ・・・もうやめろって・・・」
カカシはため息をつくと、の腕をつかんだ。
すると突然、の肩が震えだしたのだった
「て・・・?」
焦るカカシ
そして・・・
「・・・ヒック・・・カカシは私のこと嫌いなの?」
涙をため、上目遣いで自分を見つめるに、カカシはドキッとした
「嫌いだからぁ・・・ッ・・・お酒・・・飲ませてくれないの?」
「いや、そんなわけじゃ・・・」
「私はぁ・・・カカシが・・・好きなのにぃ〜!」
カバッと勢いよくカカシに抱きつく
この光景を目の当たりにした4人も、されたカカシも驚き目を見開いた
「ちょっ・・・・・・?」
恐る恐る顔を覗き見ると、そこには寝息を立てるの姿があった





「・・・んっ・・・」
心地よい温もり
「(皆とお酒飲んでて、カカシが隣に座って・・・)」
伝わる振動
「おはよー、
いきなりのカカシの顔と声に、は思わず体を後ろにひく
「ちょっ・・・危ないでしょーが」
が今いるのはカカシの背中・・・つまり、カカシにおんぶされていたのだった
「降ろして!!」
「だーめ。まだ歩けないデショ」
「いいから降ろしてっ!」
暫く考えるカカシ
そして・・・
「じゃ、俺の質問に答えたら降ろしてあげる」
「・・・何よ」
「さっき言ったこと、アレってホント?」
「は?さっき言ったことって・・・」

皆とお酒飲んでて
カカシが遅れてきて、隣に座って
いっぱいいっぱいになって
お酒のピッチがあがって・・・それから・・・

『私はぁ・・・カカシが・・・好きなのにぃ〜!』

ポッなんてものではない、ボッとの顔が真っ赤に染まる
「あっあれは・・・その・・・」
「・・・ねぇ、ホント?」
「・・・」
「俺さ、聞いたんだよね〜紅に。はアルコールが許容量を越えると、本音を暴露しちゃうって」
もう隠しきれない・・・そう思ったは深呼吸し、口を開いた
「そうよ・・・私は・・・私は!他の誰でもない、はたけカカシが好きなのっ!」
少しヤケなに苦笑を漏らしながら彼女を地面におろすと、カカシはギュッと抱きしめた
「なによ・・・なんか文句でもあるの?」
「な〜いよ。・・・すっごく嬉しい・・・」
強まる腕の力
「・・・好きだ、
「私も・・・好きだよ、カカシ」
視線と視線が絡み、そして、唇が重なり合った





「カカシなんか大嫌いっ!!」
「えぇ〜!〜」
思いが通じ合ってからも相変わらずの毎日
でも・・・
「でも・・・やっぱ好き・・・」
・・・愛してる〜〜〜vv」
少しだけ、可愛くなれたかもしれない









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HP「兎と月の夜」の夜月麗様からの頂き物です。
ホントにいいのかなぁ、私がこんな素敵なドリームもらっちゃって(汗)
本当にありがとうございました☆



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