遠くから聞こえてくるような

     近くで鳴っているような

     聞き慣れた、音。

     それを聞きながら、また眠りの淵へと引きずりこまれた。






     ある朝の風景。





     がばっと勢いよく起き上がった。

     「ああーーー!もーこんな時間!?」

     やばい・・・・。

     2度寝した・・・。

     間に合わない。

     早く着替えないと・・・。

     そう思って、ベッドから下りようとしたんだけど。

     私の体の動きに、パジャマの裾がついてこない。

     「ちょっとぉー!!」

     パジャマの裾を下敷きにしているやつがいる・・・。

     思いっきり引っ張ると、裾はスルッと抜けて

     彼の体が少し動いた。

     「・・・・ん〜・・・・・・・。」

     「カカシ!・・・・カカシ!起きて!!」

     むにゃむにゃと口を動かしただけで、カカシが起きる気配はない。

     「起きろっ!」

     カカシの目がうっすらと開いた。

     「・・・・・・・・?どーしたの?」

     「どーもこーもないって!早く起きて着替えてよ!」

     「え〜・・・何そんなに慌ててんの。」

     「映画!早く行かないと始まっちゃうよ!」

     映画の前売り券が2枚、ベッドのサイドテーブルに置いてある。

     これだけはどうしても公開初日に見たいからって、私が買っておいたものだ。

     「・・・あ、そっか・・。行く約束してたよなぁ。」

     「思い出した?じゃ、早く起きてよ。」

     「う〜ん・・・俺、まだ眠いんだよね・・・。」

     「何言ってんの!」

     「だって・・・・昨夜は、誰かさんがなかなか寝かせてくれなかったからさー。」

     そう言って、カカシはにやっと笑った。

     「・・・・う、うるさいっ!寝かせてくれなかったのはカカシのほうでしょー?!」

     あ〜、朝になって・・・冷静に思い出すと恥ずかしい・・・。

     って、そんな事思い出してる場合じゃなくって・・。

     「もー、そんなのどーだっていいじゃない。」

     「すごかったよなー、昨夜のお前。」

     にやけ顔のカカシ。     

     恥ずかしい・・・・。

     なんでカカシは恥ずかしげもなくそーゆー事言えるのかなぁ。

     「あ、朝っぱらから何馬鹿な事ばっか言って!?エロカカシ!

      恥ずかしくないのっ?!」

     「別に恥ずかしくないよ。だって俺達・・・。」

     ぐいっと腕を引っ張られて、私はベッドに逆戻り。

     そのままカカシの腕の中。

     耳元で、カカシが囁く。

     「・・・愛し合ってるんだからさ。」

     私は素直なタイプじゃないから、

     そーゆー直接的な言葉を言われて心拍数が上がってしまう。

     「・・・カカシ・・・よくそんな言葉・・さらっと言えるよね?」

     笑ってごまかそう。

     と思ったら、カカシは妙に真剣な表情をして。

     

     「俺は『愛してる』って言葉、簡単に言うような男じゃないよ?




      言えるのは、相手がお前だから。



      本当に愛してるから言えるんだ。」




     真剣そのもののカカシの瞳。

     いつもは隠されている赤い右目。

     私はすっかりその目に吸い寄せられていた。

     「・・・・カカシ・・・。」

     カカシは顔を近づけてきて

     私の唇に甘いキスを1つ、落とした。

     目を閉じて、そのまま口内に入ってきたカカシの舌を受け入れる。

     キスを止めたかと思うと、今度は私の体を組み敷いた。

     「、愛してる。」

     「・・・・うん。私も。」

     カカシの体に這う、いくつもの傷跡。

     私はそれを指でなぞる。

     その間に、カカシは私の首から肩、胸へと赤い跡を付けていく。

     一通りそれが終わると、カカシはいつも以上に、甘い笑顔で言った。     

     「昨夜の続き。しよっか?」

     











     映画のチケット、もったいないけど・・・。

     ま、いっか。

     カカシの誘惑には

     勝てない。






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