12・24





 「明日、クリスマスだよ。」

 「ん〜?・・・あぁ、そうだっけ?」

 「・・・・・・・。」

 俺の生返事が気に食わなかったらしい。

 ちらっと様子をうかがう。

 は怒っているような、困ったような顔。

 俺はまたイチャパラに視線を戻した。

 「カカシ・・・人の話聞いてるの?」

 「・・・・・うん。聞いてる。」

 「こっち向いてよ!」 

 ついには俺の読んでいるイチャパラを取り上げられた。

 「カカシって、ほんとイベントに興味ないよね。」

 「だってさー、俺達明日も任務あるだろ?」

 「そんなの関係ないよ。」

 「二人とも任務なのに、イベントも何もないデショ?
  大体、何時に帰って来られるかも分かんないんだしさぁ。」

 「・・・・・。」

 は怒ってそっぽを向いた。

 あ〜、まずいなぁ・・・。

 「。」

 「なによ?!」

 「そんなにクリスマスって大事?」

 俺の問いかけに、は俯いてしまった。

 「・・・大事じゃないけど・・・友達は皆、彼氏と過ごすんだって。
  そーゆー話聞いてたら、羨ましくて・・・。」

 「あぁ、それで急にクリスマスって言い出したんだ。」

 「・・・カカシ、ごめんね。わがまま言って・・・。」

 「いや、俺も悪かったよ。ごめんな。」

 は立ち上がって、大きく背伸びをする。

 「あ〜!!明日も任務だ!がんばろー!」

 威勢はいいが、やる気のなさそうな声だなぁ、おい。

 「じゃ、私先に寝るよ。朝早いし。」

 言うが早いか、はぱたぱたと寝室へ行ってしまった。






 静かになったリビング。

 俺は本を閉じて、窓を見た。

 「?」

 ・・・雪?

 どうりで寒いはずだ。

 ちらちらと舞い降りる白い雪をしばらく見て、俺は寝室へ向かった。

 明日のクリスマスに気をとられて、

 今夜がどーゆー夜か分かっていないの眠る寝室へ。





 寝室に入ると、は窓の方を向いて横になっていた。

 寝ちゃったかなぁ?

 の横にすべりこんで、顔を覗きこんだ。

 「・・・。寝ちゃった?」

 「・・・・・。」

 「お前、狸寝入りだろ。」

 わき腹に手を入れてこそぐると、予想通りは笑い出した。

 「こそぐったいって!!やめてよ!」

 「俺に寝たフリなんて通用するわけないだろ?」

 「も〜。何よ〜?」

 「雪、降ってきたよ。」

 「うん・・・、そうだね。」

 俺はそのまま手をの腰に回した。

 「クリスマス、一緒に過ごせなくてごめんな。」

 「いいよ、私も任務だしね。お互い様だよ。」

 「・・・、気付いてないねぇ。」

 「え?何が?」

 「明日はクリスマスだろ?」

 「うん。」

 「今夜は?」

 「・・・・あ。・・・・クリスマス・イブ?」

 「ごーかっく。」

 「そんなのすっかり忘れてた・・・。」

 「明日は一緒にいられない。でも、今夜はずっと一緒にいるよ?」

 返事の代わりに、はにっこりと笑った。

 の体を俺の方に向かせて、薄紅色の可愛らしい唇にそっと俺の唇を重ねた。

 「寝不足になっても、任務はしっかりこなせよ?」

 「は?」

 「今夜は寝かせてあげない。」

 「・・・・あ!ねぇ、カカシ!窓見てみなよ。雪がすごく降って・・・。」

 「はいはい。ごまかさないの。」

 「あの・・・寝不足で任務失敗したら困るし・・・。」

 「だいじょーぶ。なら失敗しないって。」

 「どうして言い切れるの!」

 俺はがこれ以上何も言わないように、その口を俺の唇で塞いだ。

 
 外は雪が一段とひどく降ってきた。

 朝になったら、きっと一面の銀世界が広がってるんだろうなぁ。





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