前の日からずっと眠れずに、やけに、楽しい気分。
自分のイベントではないけれど、
勿論自分のそれより、
ずっとずっと、大切でなくてはならない日。

午前0時0分に。
7月3日になったその瞬間に。
ありきたりだと、君は苦笑するかもしれないけれど。

花束を持って。
ケーキを持って。
とびきりの笑顔と、愛を。



HAPPY BIRTHDAY



見張りはロビンちゃん。
気を利かせて、少し早く部屋を出た。
「私の分も、祝ってあげて」
口の端に笑みを浮かべて言うロビンちゃんに、
紅茶と一緒にお任せあれ、と言葉を渡し。

きっと気付いているけど、足音を立てないように歩く。
ほら、そうゆうのは、気持ちの問題だろ。

大丈夫、時間はぴったり。
ドアの前で息を大きく吸って、
小さく咳をする。

さあ、5、4、3、2、・・・
右手をぎゅっと握って、ドアを軽くノック。

「どうぞ。」

声を聞けば、君がどんな表情をしているか分かる。
来ると思ってた。
そう言いたげな瞳に、
少し照れたような微笑。
そう読んで、
ドアを開ける。
ケーキのバランスを崩さないように。
花束の花びらが落ちないように気をつけながら。

ほら、大正解。

「ナミさん」
優しい君の笑顔に、胸が高鳴る。
12時になったからって、
突然何かが変わるわけではないのに。
またひとつ、
違う君が見れたような気になった。

「誕生日、おめでとう」
「ありがと、サンジ君」
花束をイスに。ケーキをテーブルに。

腕を、君に回す。
「サンジ君っ」
「ナミさんの誕生日を一緒に過ごせて、すっげェ幸せv」
「もう・・・」
呆れたように笑って、仕方なく腕を回し返してくれる。
いつも単純におれを抱きしめてはくれないけど。
だから、
こんな風に君と抱き合える瞬間が幸せなんだ。

「今日はナミさんの好きなように、過ごそう」
「そう?じゃあ、色々買い物付き合ってもらおうっと」
「何でも、ナミさんのためなら」
「そんなお金、ないくせに」
「いいんだ、最近肉買いすぎだから、今日は抑える」
「さすが、サンジ君」

抱きしめたまま、くすくす笑いながら話して、
たまに、軽くキスをする。
くすぐったい、と嘆くけど、嫌がってはいないから。
ちょっと調子に乗って深く口付けると、
頭を小突かれる。
「バカ」
「ウン」

いっぱいキスをして、抱きしめて、
もっともっと、愛を感じあおう。

来年も、再来年も、
何年たっても。
変わらぬ愛を感じあおう。

この大切な日に。