今ある幸せが永久不変に続くなんて、
思えるわけない。



Full







冷たい風が頬を掠めた。
伸びた前髪が、少し邪魔くさい。
「風が強いな」
煙草の煙がこっちにこないように、と、
火を消した。
「一雨、降りそうね。このところ、ずっとこんな天気」
「あァ。ま、おれの心は、ナミさんがいるだけでいつも快晴だけどね」

・・・この人のこうゆう、バカな言葉に、
いちいち反応してしまうのが悔しい。
もっともそれは心の中だけで、
サンジ君に分かるようなものではないけれど。

「ナーミ、さん」
あたたかい手が、私の手を覆う。
「キスしよ」
笑顔で言うアナタの言葉は、軽く交わせるのに。
こういって目を閉じて近づかれると、
魔法にかかったみたいに動けなくなる。
あっという間に唇は奪われて、
私の意識がサンジ君でいっぱいに、
なる。

「ん、う・・・」
唇から全身に熱が伝わってく。
細い腕なのに、
抱きしめる力は強くて、強くて。

ざわ、ざわ、
みかんの葉が揺れる。
心も、
揺れる。

こんなに今はアナタに満たされていても・・・

いつの日にか、
いなくなってしまうでしょう??


どんなに大切に思っていても、
どんなに愛しく思っていても。
「ナミさん、スキ」
いくつ言葉を並べたって。
何度身体を重ねたって。

「ココじゃ、嫌」
「ん。」

どんな形だって、
別れはきっと、くるんだもの。
本気になんてならない。
あなただけの私には、ならない。

—ならないわ。



「んっ・・・・・、?」
繋がったまま、
サンジ君が私を抱き上げる。
ぎゅう・・・っと、
強く、強く、抱きしめて、
「だいすき。」



ずっと頭で考えてたことを、一気に消しちゃう、コトバ。

こんなとき私は、
苦しいくらいなたを愛しいと思う・・・。

好きになればなるほど、
キスを交わせば交わすほど、
きっと辛くなるのよ。
けれどきっと、
その痛みの代償の、

甘いキスも、愛しさも、快さも。
求めてしまう。
もう、
頭で割り切れないくらい、
私の中がアナタで満ちてしまってるから。