しあわせ。
両手に余るくらいのお宝見つけたり。
おいしい料理食べたり。
存在しない海図を自分の手で作り上げたり。
・・・あなたの傍で、
目が覚めた時とか。



幸福理論







ぼんやりした視界。
まだ、辺りは薄暗い。
まどろんだまま視界を移動させると、
口から煙を吐き出している、あなたの姿が見えた。
眠っていたせいか、
それともこの煙のせいか、
かすんだ視界をこすって治すと、
それに気付いたあなたが吸っていたタバコの火を消した。

「起きちゃった?」
優しく髪を撫でる腕。
夜の闇で少し冷えた感触、タバコの匂い。
あなたのことを感じる、小さなひととき。

「うん。・・・今、何時?」
「まだ、夜の3時半」
眠りについたのは、1時半くらいだったと思う。
今まで、ずっと起きてたのかな。
・・・そんな気持ちを察したように。
「おれも、目、覚めちゃってさ。
ナミさんの可愛い寝顔、見てた」
額に軽く、2回のキス。

ついさっきまで眠っていた体の中がまた、
少しだけ熱くなる。


そっと、肌を合わせるだけで得られる、幸福感。


「口にして、サンジ君」
照れたように微笑んで、
唇を合わせる。
最初は、軽く、
だんだん、熱く。
タバコの味。
あなたとの、キスはいつもこんな味。
でも悪くないわ、
だってあなたの甘さは相当だから。
キスくらい、苦くたって全然構わないわ。

「ん・・・」
ぎし、とベッドが軋んで、
隣にいたあなたの体が私に重なる。


さらに熱さを増す私の体と、そこから感じる、幸福感。


感じる悦びを、声で、仕草で、あなたに届くように。
「ん、あっ・・・サンジ、くん」
あなたはこういうとき、
おしゃべりじゃなくなるね。
いつもはうるさいくらいナミさんナミさん言うくせにさ。
言葉を返す代わりに、深い口付けを。
それで私が満たされることを、きちんと分かってる。

何度肌を重ねても、そのたびに高揚感がやってくる。
私に触れて、侵していく指に、反応せずにはいられない。


快感とともに押し寄せる、幸福感。


嬉しいわ、幸せだわ、あなたとこうしていられること。
あなたの頬を伝って垂れてくる汗の雫も、
肌に口付けるたびさらりと揺れる金髪も、
「ナミさん、・・・いい?」
「・・・・・・ん」
いちいち律儀に私の反応を確かめるところも、
たまらなく愛しいわ。

私に侵入して、もっと、もっと、最深まで。
もっともっと、熱くして。
もっとたくさんの、しあわせを頂戴。