なんで。どうしてよ。 


Why








「ねえビビ。男が好きな女にて出さない理由って何かな」
「え、えええっ!?」
ビビが驚くのは分かってたけど、だってさ、わかんないんだもん。
あいつが何考えてるのか。
「そ、それって、ええと、その」
「一般論よ一般論。私がどうとかじゃなくて」
「う、う〜ん・・・」
そりゃね、ビビに分かれば苦労しないけど、
誰かに言いたくて仕方なくなったの。分かるでしょ?

毎晩同じ部屋で寝ているビビには、
もうあいつのことは話してる。
というより、この船に乗っていれば少なからず分かってしまうと思うけど。
他の仲間より、ちょっとだけ特別なあのコックとの関係。

私のことをスキだと言って、
私も気がついたらスキになっちゃってて。
傍にいる。二人きりの時間もある。
抱きしめあうし、キスもする。
でも、それ以上は、ない。

なぜかビビが、真っ赤になってる。
「ちょっと、何想像してるのよ」
「ち、違いますよっ!!」
必死になって否定しているけれど。
私はビビの答えを待つことにして、沈黙を守った。

「そ、そうね、一般論で言えば、例えばその女の人のことが大切だから、
そんな簡単に手を出したくないとかっ」
「毎日毎日キスしてくる奴がそんな硬派とは思えないわ」
「ままま毎日!!!!」
「一般論よ」

皆の目を盗んでは、優しくキスをしてくれるのに。
たまに激しく求めてくれるのに。
キスだけなのは、どうして?

動揺しまくりなビビに私はさらに答えを求めてみる。
「じゃじゃじゃあ、手を出すチャンスがないんじゃないかしら、
時間とか場所とか」
「島に行ったら自由時間はずっと一緒にいるのよ。
場所だって町の中を探せばいくらだってあるのに」
「ええいくらでも!?み、見たことないわ・・・」

誘おうと思えば簡単に誘えるでしょ?
だってアンタの腕の中だと無抵抗になること、
一番知ってるはずなのに。

ビビは熱を持った頬を冷ますために、
夜風に当たると言って部屋を出て行った。
ビビには重い相談だったかなって、
反省してるけど。

別に欲求不満なわけじゃない。
・・・・・・と思いたい。
だってサンジ君は暖かくて、優しくて、何だか・・・
愛して欲しいって、思うのよ。

なんで。どうしてそうしてくれないのよ。
私からなんて、言えないじゃない。