だって、やっと自由になったのよ。
だって、私だってただの18歳のオンナノコなのよ。
普通に、恋がしたいって思っちゃう気持ちも、
湧いてきちゃうでしょ?



消去法








そう。
つまり、私は恋がしたかったってことなの。

でも冷静に考えて。
冷静にこの船の中を見渡して。

ルフィ?
あの肉のことしか頭に無い船長さんに、
レンアイなんて食べられないものが出来ると思う?
ルフィって案外頼りがいはあるんだけど、
何かしらね、男ってのを感じないのよね・・・
そりゃもう、全然。
だから、逆に接しやすいのかもしれないけど。

ゾロ?
確かにゾロは強いし、お金になるものも持ってるし、
・・・でもね。想像できる、私とのデート姿。
私はお洒落にばっちり決め込んでるのに、
多分アイツは腹巻なんでしょ。
無理よ、む・り!!
釣り合わないわ、そんなの。
ゾロが可哀想じゃない。

ウソップ?
そりゃあ、悪い奴じゃないわよ。
でもねえ・・・さすがに、頼りないわ。
それにウソップには故郷に、
”麗しい少女”が待ってるわけだしねえ。
船までくれちゃうような、
太っ腹な彼女には到底勝てっこないわ。

チョッパー?
さすがに、ちょっと、ね。
可愛いけどね。
可愛いって、だけよね。

って、それだけよ。
それだけの理由なのよ、私の恋って。

恋がしたいわ、
身近に誰かいないかしら、
うんそうね、
ルフィは駄目、ゾロも駄目。
そうやって、
消去法使っただけなのよ。

アンタに辿り着いたのは。

決して優しいとか、
料理が上手とか、
実は頼りになるとか、
声を聞いたらなんだか嬉しくなるとか、
傍にいたら楽しいとか、
2人の時間が心地良いとか、
気がついたら目で追ってるとか、
そんな理由じゃ、
ないんだから。

消去法で選んだのよ。


なのに。

何でこんなに気になるの。
アンタのこと考えちゃうのよ。
もうすぐノックをする時間だって思ったら、
時計の針が気になって、
思わず早送りしたくなっちゃうのよ。

我慢して、待ってみて、
ノックの音が聞こえたら。
必死に嬉しい気持ち堪えて、
至って冷静に「開いてるわよ」って答えるの。


ちょっとだけ好きなだけよ。
ただそれだけ。
理由なんか、ないんだから。
仕方ないから、アンタなんだから。
そうに、決まってるじゃない。


だから勘違いしないで。
私。