いきなりナニ言い出すかと思ったら。 


王女様とお姫様




「ビビのこと、好きなんでしょ」
「……へっ??」
クロコダイル倒して、王サマも助かって、一件落着、と、
飲んで食って騒いで、その後の庭園で。
いきなり、何を言うのかな、ナミさんは。
「ナニ言ってンの、ナミさん。おれ、ナミさん一筋だよ」
「ウソ。いいのよ隠さなくて」
おっと、にっこり笑顔のナミさんは最高に可愛いけど、
・・・今日の笑顔はちょっと怖い。

酔ってるってワケでもなさそうだ。
ナミさんの酒の強さは、
ゴーイングメリー号に関わるものなら誰でも知ってる。

「隠すも何も。ナンでそう思ったの」
「・・・」
ああ、黙っちゃった。自分の胸に聞けってコトか?
・・・思い当たるフシはない、と思う。
レディの一人として助けたことは、勿論あるけれど。
そんなことでナミさんが怒るとも思えない。

そりゃビビちゃんも可愛いけどサ、
おれにとってはナミさんだけが特別なワケ。
誰よりナミさんのこと考えてるし、
そーゆー行動とってきたつもりなんだけどな。

でもこのナミさんの様子。冗談とも思えず。
「わかんねえなあ、ナニ?ナミさん」
おれは両手を上げて完敗、して見せたんだけど。
ナンかやっぱナミさんの視線は冷たいまま。

でもさ。・・・ナミさんやっぱ可愛いなあ。
暗い中で照明に照らされたナミさん。
怒ってる顔も、絵になっちゃうんだよなあ。

あー、抱きしめたいな。

「プリンセスなんでしょ、ビビは」
「え?」
「アンタはプリンスで、ビビはプリンセスなんでしょ」

・・・・・・あぁ、そういうコト。
プリンセスとプリンスって響きに、
反応しちゃったってコトか。
「何笑ってるのよっ」
だってさ、ナミさん可愛いからサ。
「ナミさんは、おれのお姫様だよ」
「何よそれ」
「ビビちゃんは、王女様。王女様の相手は王様でしょ、
おれは王子様だから、おれの相手はお姫様のナミさんなの」

カタカナにしちゃうと、同じになっちまうんだよなあ。
カタカナのほうがかっこいいかなと思っただけだったんだけど、
ナミさんが気にしてたとは思わなかった。

「お姫様。機嫌は良くなられたでしょうか」
「・・・ばっかじゃないの」
そう言いながらも、照れてちょっと赤くなってンの、
やっぱり可愛いなあ。
「それじゃあお姫様、ご機嫌直しに口付けでも」
「調子に乗るなっ!!」

う〜ん、やっぱおれのお姫様、
サイコーっす。