目を向けると、隣にあなたがいる。
この、暖かい気持ち。
なんて幸せ。



暖冬






のんびり、航海中。

部屋の中、ベッドの上で、
サンジ君に後ろから抱きしめられて、
ゆっくり本を読む。
航海術の本だからつまらないわよって言っても、
いいから口に出して読んで。って言う。
「ナミさんの声が聞きたいの」
私はわざと小さな声で、
本を読む。・・・・・・近くに来ないと聞こえないわよ。

読んでいる途中にやっぱりサンジ君は飽きて、
髪の毛をちょっとだけくるくるって指からませたり、
耳元に小さくキスをしたり。
くすぐったくて、
首を振ってもやめない。

「ほら、やっぱりつまんかったでしょ」
「ナミさんは、読んでていいよ。おれはこうしてる」
「バカ。読めない」
パタンと本を閉じて、傍らに置く。
サンジ君は嬉しそうに頬にキスして、
私の目を見て、にこっと笑う。
もう一度優しく頬に口付けて、そのあとすぐ、
唇を重ねた。

あったかい、キス。

唇をなぞるように、舌を滑らせた。
唇の神経が、ぞくぞくって震える。
腕を伸ばして肩をちょっと掴むと、
サンジ君の手が私の顎を押さえる。
少し強引に口を開かされて、
深いキスを求めてくる。
口の中を支配されるような、キス。
動いているのは舌の先だけなのに、全身がびりびりする。

顎の手が頭の後ろに回って抱きしめられて、
唇を離して、肩に頭を乗せて。
私も腕に力を入れる。
ぎゅう、っと強く抱きしめて、
・・・・・・ああ、幸せ。
サンジ君の体温を全身で感じる。
さっきまで、少し肌寒いキッチンにいたのに。
なんでこんなにあったかいんだろう。


部屋の外は冷たい風が吹いてる、今は、冬。
だけどココは、すごくあたたかいわ。
もうしばらくはこのままでいよう。